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自作野郎ぜっ!管理者 kow_2002@hotmail.com

自作の道は手加工に始まり旋盤で終わる。

旋盤。

 

丸い棒状の材料を高速回転させ、そこに固定された刃物をあてることで「外丸削り」、「中ぐり」、「穴あけ」、「ねじ切り」、「突切り」等の各種加工を行います。

 

フライス盤講座の時に使用した表ですが、臆面もなく再掲します。

 

旋盤 ボール盤 フライス盤
主な用途 円筒状の加工 穴あけ、研磨 平面の加工
使用する刃物 バイト、ドリル(芯押し台で使用) ドリル、フラップホイール等 エンドミル、ドリル、フライカッター等
刃物の動き 2軸。左右前後のみに「精密に」動く 1軸。上下に「大きく」動く 3軸、左右前後上下に「精密に」動く
材料の動き 高速回転する 固定されている 固定され、大抵2軸に動く
各軸に対して求められる精度(異論は認める) 0.02mmレベル 0.5mmレベル 0.02mmレベル

 

とにかく円筒・円柱状の材料を加工させたらその精度・生産性ともにぶっちぎりの効率の良さです。
フライス盤やボール盤と異なり、刃物が材料にあたったまま「連続的に」切削を行います。切粉はアルミなどの材料を使うと細長くつながり、短時間で多くの切粉を排出することができます(つまり、加工が早い)。

 

いろいろなアタッチメントが販売されているのも旋盤の特徴で、例えばミーリングアタッチメントを取り付けると簡易的にフライスのように使うことができますし、また最初からミーリングアタッチメントをセットで「複合加工機」として発売されているものもあります。

 

が、餅は餅屋、やはりミーリングはフライス盤(Mill)が得意です、自作野郎のバイブルと言われる某書にも、ミーリングマシンはセッティングが大変で別途フライス盤を持つ方が好ましいと記載されています。

 

旋盤、ボール盤、フライスの違いを押さえよう
金属加工を覚えるためにもまず旋盤を購入しよう
ミーリングアタッチメントは帯に短したすきに長し

 

という感じでしょうか。


旋盤を買う前の注意点・考慮点

旋盤を買う前に。

 

旋盤が欲しい!と思う方は、以下のチェックをしてみましょう。筆者が独断と偏見で書きました。フライス盤ほどではありませんがはやり金属加工機、ちょっと間違えると大怪我しますから・・・。

 

手作業でアルミや鉄を切ったり穴開けたりした経験が、十分にありますか?

 

これ、フライスの時とおなじように大切です。どんな金属がどれくらい硬くて、どれくらい刃物を食い込ませてどれくらいの力を掛ければどれくらい切れて、どれくらい熱を持つのかを「ある程度は」体で覚えている必要があります。

 

旋盤は動力機械ですから、ちょっとしたミスで刃物が折れたり、チャックに加えた材料がすっとんだり(鉄の塊はとても重い)して危険です。刃物の切れ味を考慮せずいきなり高速回転で主軸を回転させ、刃物を一気に切り込ませて食いついて起きるトラブルが非常に多いのです。このあたりは初心者ほどよくやるミスです、初心者は大抵の場合「隣で実演してくれる」先生がいませんから、いきなり全開・・・という危険な行為をしがちです。

 

本サイトではできるだけ動画を増やしてそんな初心者の不安と疑問に答えたいと考えています。

 

作りたいものは決まっていますか?

 

なんだなんだフライス盤の「買う前に」と同じじゃねーか・・・とぼやかれるあなた、その通りです(笑。

 

ただ、決して手抜きではありません。

 

やはり旋盤においてもたいていの指南書には「できるだけ大きくて重いものを買いましょう」なんて書いてあります。でも、旋盤の大きいのは余裕で1トン。そして小さいいわゆるホビー用の旋盤は、「想像以上に小さいものしか加工ができない」のです。

 

例えば筆者が愛用しているFL350Eに代表されるC3系の旋盤。必要な設置面積は700mm×220mmと非常に手頃です、手ごろですが。

 

  • 標準の三つ爪チャックが正爪で咥えられる丸棒は太さ30㎝程度です。それ以上の太さだと、いちいち逆爪に付け替えなくてはいけません。逆爪にしても、最大で太さ80mm程度までしかつかめません。
  • チャックの貫通穴の都合で、16mm程度以上の太さの丸棒は長いまま使うことができません。いちいち切断して、咥え代をゴミとして出す必要があります。
  • また、最大で200mm程度の長さの物しか加工できません。テールストックに回転センターを組み合わせると350mmのベッドでも加工範囲は200mmが限界です。

 

まさに大は小を兼ねるがその逆はない世界です。

 

作りたいものを作る、ではなく作れるサイズに収まるように設計するセンスが必要となります。オートバイのカスタムならばできればFL400くらいが手に入れば最高なのですが・・・

 

切断機は持っていますか?

 

旋盤加工の最初のステップは「丸棒の切断」から始まります。そんなの弓ノコで十分じゃんねー、という方はぜひ2017(ジュラルミン)の丸棒30mmを弓ノコで切断してみてください。夏場であればもうその後に旋盤で遊ぶ気力なくなること請け合いです・・・

 

さあ、この3つのポイントをよく考えてみてください。それでもやっぱり旋盤欲しいですか?

 

そうですか、マジですか(笑


旋盤を購入する前の検討事項

ここでは、旋盤を買う前に検討しておく必要があることを記述します。

 

どこに旋盤を置くか、を検討しなくてはなりません。

 

とにかく切粉(キリコ、と呼びます)が大量に出ます!フライス盤の切粉よりも「多少は」(多少は、ですよ)掃除しやすいとはいいつつ、その生産性の高さから「大量に」切粉がでます。ちょっと加工を行えば、スーパーのレジ袋のひとつやふたつ、満杯になってしまうくらいです。

 

旋盤 ボール盤 フライス盤
切粉 細長くつながる 細長くつながる 細かく鋭い
切粉画像
掃除の苦労 たいへん らく ものすごくたいへん
切粉の量 大量

少な目 少な目

 

ですから、その大量の切粉をどう処分するか、考えておく必要があるのです。

 

運が良ければアルミ缶などの資源回収で引き取ってくれるでしょう。また危険物として捨てることができるかも。

 

切断機をどこにおくか、を検討しなくてはなりません。

 

フライスと同様に、旋盤を使う上で切断機は必須です。

 

ぜひバンドソーの購入も併せてご検討ください。これ、けっこう便利です。じゅうたんを捨てるとき、そのままだと粗大ごみで有料なのにコイツで細かく切断すると燃えるゴミになったり・・・


旋盤の楽しみ方

というわけで

 

自作野郎はまず旋盤!(と切断機)

 

なのです。

 

機械加工ならではの精密な加工を楽しむことができます。丸棒をカラーとするためにビシッと直角に切断(突っ切り)したり、美しい面取りを入れたり、丸棒のど真ん中に穴を開けたり。

 

間口も広く奥行も深い、とっつきやすく使いこなすことが難しい練習用に最適のマシンです。ですから、昔から多くの自作野郎の心をとらえて離さないわけです。

 

  • ユニマットやマイフォードなど、オールドマシンの収集やレストアに夢中になっちゃう方。
  • ホームセンターのキャップボルトの頭を削って飾りネジを作るのが楽しくて仕方ない方。
  • オートバイのカスタムでホイールカラーやアクスルシャフトなどを自分で作っちゃう方。
  • 自作エンジンのシリンダを削り出して「ライブエンジン」を生み出している方。
  • CNC化して造形を楽しんでいる方。

 

たくさんの楽しみ方があります。ぜひその扉を開けて、一緒に楽しみましょう!

 

お待ちしております!

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