CNCへの第二歩、CAM。
CAM(computer aided manufacturing) 。
言葉としては「コンピュータ支援製造」を意味しており、つまりはコンピュータを使用して製造を行うことを指します。
CADと異なり、「CAM」はCNCを行うことが無ければまったく目にしない・手にしないソフトウエアです。しかし、CNCをやるのであればほとんどの場合、「CAM」に頼ることになります。「ほとんどの場合」、というのはまれに簡単な加工であればCAMの力を借りずに
- メモ帳
- 手
だけでちょいちょいとGコードを直接書いちゃうこともあるからです。
そう、CAMのお仕事は
- CADデータ(DXFファイル)を受け取り
- 加工方法を指定してツールパスを検討
- 最終的にGコードを出力する
ことにあるのです。
Gコードとは。
Gコード。
これが、CAM工程の最終成果物です。
Gコードさえ出来てしまえば、あとはCNC制御装置にこのGコードを喰わせて、実際に削るだけ!となります。
上の図において、右側に細かい線で構成された図形が表示されていますよね。これが切削パスです。フライス盤に装着したエンドミルの
- 先端・中心
が、走る予定の軌跡を表示したものです。「ツールバス」と呼びます。細かい線の積み重ねになっているのは、0.5mm刻みで何度も何度も削るように「CAMで指定」したからです。
そして左側に羅列されているのがその「ツールバス」を文字・数値で表現した「Gコード」です。
Gコードは、ツールパスを文字・数値で表現したものです。
ちょっと抜粋してみましょう。
- N80X0.000Y0.000F300.0
- N90G00X2.500Y0.000Z6.000
- N100G01Z-0.500F30.0
- N110G02X0.000Y-2.500I-2.500J-0.000F300.0
- N120G02X-2.500Y0.000I-0.000J2.500
- N130G02X0.000Y2.500I2.500J0.000
- N140G02X2.500Y0.000I0.000J-2.500
- N150G01Z-1.000F30.0
うーん、わけわからん。
先頭のN+数字2ケタor3ケタは単なる列番号なので取っ払いましょう。
- X0.000Y0.000F300.0
- G00X2.500Y0.000Z6.000
- G01Z-0.500F30.0
- G02X0.000Y-2.500I-2.500J-0.000F300.0
- G02X-2.500Y0.000I-0.000J2.500
- G02X0.000Y2.500I2.500J0.000
- G02X2.500Y0.000I0.000J-2.500
- G01Z-1.000F30.0
さて、本来はこんなの読めなくても全く問題ないのですが、少しだけ解説しましょうか。なぜか2行目から行きます。
2行目:G00X2.500Y0.000Z6.000
まず、先頭の3文字。
Gコードにおいて、行番号を除いた先頭3文字を「コード」と呼びます。この場合は「G00」です。
このコードが、その行でのエンドミル(とは限りませんがここではエンドミルを使うことにしましょう)の動き方を指定します。具体的には、
- G00は全力でまっすぐ動け
です。
え、どこに向かって?
コードの次に書いてありますね。「X2.500Y0.000Z6.000」って。行先は必ず座標で指定します。この場合、
- X軸:2.500mm
- Y軸:0.000mm
- Z軸:6.000mm
のポイントめがけて全力で動け、となります。え、どこから?
そう、Gコードは「どこから」の指定をしません。具体的には「今いるところから」となるのです。ですから、この2行目を日本語で書くなら
エンドミルよ。お前は今いるところから全力でX軸:2.5mm、Y軸:0.0mm、Z軸:6.0mmのポイントまで移動するのだ。
なのです。
え、全力ってどれくらいの速度で?
これは実はCNC側で設定しますので、ここでは割愛します(大丈夫、趣味のCNCで出てくる)。
同じように読み解くと、3行目
0G01Z-0.500F30.0
は、
エンドミルよ。お前は今いるところから指定された速度、毎分30mmでX軸はそのまま、Y軸もそのまま、Z軸:-0/5mmのポイントまで移動するのだ。
となります。そう、コード「G01」は、「G00」と異なり送り速度を「F値」で指定することができます。
ここまでよいでしょうか?
じゃあ1行目。コード部がありません。省略されています。
この場合は、前の行のコードを踏襲します。ホントに1行目のコード部が無い場合は、大抵の場合G00で処理されます。これはCNC側の仕様によります。
代表的なGコードを書いておきますね。これくらい覚えておけば、「趣味のCAM」レベルでは十分です。
Gコード | 正しい名称 | 適当な名称 |
---|---|---|
G00 | G00 位置決め(早送り) | 全力でまっすぐ |
G01 | G01 直線補間 | 速度を指定してまっすぐ |
G02 | G02 円弧補間CW(時計回り) | 半径を指定して時計回りに円 |
G03 | G03 円弧補間CCW(反時計回り) | 半径を指定して反時計回りに円 |
なぜ
- これくらい覚えておけば、「趣味のCAM」レベルでは十分
なのかといえば、これらのGコードは「CAMソフトウエア」が勝手に計算してくれるからなんです。ですから、
- なんとなく書いてあることがわかる
- 場合によっては手で修正することができる
程度の知識があれば十分なんです。CAM解説書に必ず書いてある、
- モーダルとワンショット
- アブソリュートとインクレメンタル
- サブルーチンと呼び出し
などは、まったく覚える必要はありません。たぶん。まず今の頃合いは。
また、大抵の「趣味のCNCマシン」はX軸、Y軸、Z軸の3軸しかCNCで制御しませんから、
- 主軸回転数
- 工具選択
- 冷却装置制御
なども、やはり学ぶ必要はありません。と言ってしまおう。大胆な。
CAMあれこれ
CAM。
基本的にはプログラムを指す言葉です。コンピューターを使ってCAD図形を取り込み、ツールパスを検討、Gコードを出力することに違いはありませんが、ざっと分けて
- 2DCAM
- 3DCAM
の二つに分けることができます。そしてそれぞれに、有償/無償が存在します・・・が、CADと異なり無償版はかなり制約があると考えてください。つまり、趣味とはいえ真面目にCNCをやるのであれば、恐らくいずれは有償CAMを購入することになるのでは・・・と思います。
まあ、これが高いんだ・・・。
また、入手ルートによって有償だったり無償だったりすることもあり(もちろん、無償版はサポートが無い)、筆者もまだそのあたり抑えきれていないので非常にプアな資料になっております。
突っ込み・お力添え頂ける方がいらっしゃいましたら、掲示板ないし本ページ下部のメールフォームからご連絡くださいませ。
2DCAM(平面CAM) | 3DCAM(立体CAM) | |
---|---|---|
主な用途 | 最終的に板状の部品を作るために使用する | 最終的に銅像のような立体部品作るために使用するを |
代表的な製品名(有償) |
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|
代表的な製品名(無償) |
|
|
使用例 | ロボットの部品、バイクの部品、機械部品一般等 | フィギュアの製作、リトフェイン等 |
いきなり3DCAMへ進む方は、申し訳ありませんがこのサイトでは対応できません(ゴメンナサイ)。
2DCAMを検討するならば、ここは最初から投資をして「Cut2D」を購入されることをお勧めいたします。
有償版と無償版はかなり機能が異なっており、特にCut2Dは
- 切削シミュレーションが可能(切削パスではなく実際に削った結果のシミュレートができる)
- タブ残しパスの自動作成が可能(削り終わった後、部品が脱落しないで済むタブを自動生成してくれる)
- 同一レイヤーにおける複数加工設定が可能(ただしレイヤーそのものを理解しない(汗)
が優れています。なので、筆者には全くキックバックはありませんが(笑、ここでは、特にCNC初心者の方には「Cut2D」の利用をお進め致します。
長々と語ってまいりましたが、まとめると
という感じでしょうか。
CAMを入手する前に
有償のCAMを入手するつもりであれば、多少の「心構え」といいますか「覚悟」は必要です。
- できるだけ事例の多いCAMを使用する
- メーカーサポートが期待できるCAMを使用する
- 質問できる方がいるCAMを使用する
といったところを気にして頂ければ、よろしいかと思います。