なんでこんなものが必要になったかというとですね・・・
オートバイに乗らない人にはさっぱりわからないと思いますが・・・(スミマセン)
この写真は、バイクの右側ステップの後端部の写真です。
なにが起きているかというと、右に転倒したときに(その時に実は右鎖骨を骨折しています)ステップ(足を乗せるところ)を路面に強打してしまい、フレームごとひん曲がってステップ基部のプレートが内側に入ってしまった図、です。
ステッププレートが内側に入った結果、スイングアームという後ろのタイヤを支えかつ上下に動くアームとステッププレートが干渉してしまいました。
こうなると、後ろのサスペンションが充分に動かず、特にもっともサスペンションに仕事をしてほしいいわゆる「フルボトム付近」での動きが阻害されてしまい非常に危険なんです。
まあ、その状態でレース1本出ちゃってるわけですがw
とにかくステッププレートを正しい位置に出さないといけません。本来であれば曲がったフレームを引っ張り出せばいいのですがスチールとは言いながらフレームはかなり固く、多少叩いてもびくともしません。
また、へんな叩き方をしてはフレームにダメージを与えてしまいます。
ということで、テーパーシムを作って「斜めの隙間」を作り出しましょう。ボルト穴が上下2つありますから、びしっと角度がでたテーパーシムを2つ、量産することが今回の加工のポイントです。
15mmの2017丸棒に、ボルト通し穴を開けます。
今回は図面もなにも書きません。
手持ちの201715㎜丸棒を使用します。
まずは旋盤で中央に8㎜の通し穴をあけます。大抵の工業製品では、8mmボルトの通し穴は8.5mmで開けられていますが、まあ8mmOKです。
簡単な作業ですね。「ミニ旋盤を使おう ②穴あけ加工(芯穴加工)」をご参考にどうぞ。
フライスに移動して、端面を斜めに削ります。
次にフライスに作業場を移します。
テーブル上に浮き上がり防止バイスを固定します。ちなみにこの浮き上がり防止バイスは「浮き上がり防止バイスを作ってみようぜっ!」で自作したものです。もう10年近く使っていますが、未だ現役バリバリです(笑)。
この浮き上がり防止バイスは、テーブルのY軸に対して角度をつけてセットされています。
この角度がテーパー角になります。
この状態で、先ほどボルト通し穴をあけた端面をさらいます。
好みの厚さに突っ切ります。
また作業場を旋盤に移します。
端面をテーパー加工した丸棒を旋盤に咥え、好みの厚さに突っ切ります。
作業は「ミニ旋盤を使おう ⑤突っ切り」にご紹介したとおりです。
キレのよい突っ切りバイトを使用し、慎重に作業すれば難しいことは何もありません。
完成です。
あとはフライス盤に固定した「浮き上がり防止バイス」の位置を変えずに、同じ作業を繰り返すだけで、ピタリとテーパーのそろったシムを作ることができます。
今回は2つ、作りました。
いかがでしょう、簡単ですよね?フライスと旋盤さえ手元にあれば、こんな小物も簡単にあっという間に、かつ精密に作ることができます。
あとはこのシムをバイクのステップに挟み込んで作業完了、です!接触していた箇所も適切な隙間ができました。
これで次回レースも完璧?ですね?