自作のための旋盤の選び方
筆者があれだけ「旋盤 初歩の初歩」で脅しを掛けたにも関わらず(笑)、このページを開くということは
覚悟を決めた
ということでよろしいですね?!よろしい。ならば購入だ。
このページではいわゆる「業務用」「本職用」の旋盤を購入「しない」方を対象にしてます。業務用フライス盤は200V電源当たり前ですし、サイズも1トン超が当たり前です。もちろん、それくらいのサイズが「置ける」のであれば大は小を兼ねるこの世界、特に旋盤は(時計旋盤等の超精密旋盤を除き)パーフェクトに大きいほうが有利ですが・・・
まあ、これも「そのためにガレージを作る」方もいらっしゃいますが一般的にそれは難しい。
ということで、ここで対象とする旋盤は
- 必要床スペース:奥行1m、幅1m程度
- 重量:最大でも100kg程度
とターゲットとし、あくまでも趣味の旋盤、をテーマとしております。
DIYのための現実的な選択肢となりえる旋盤は。
我々が選択しうる現実的な旋盤は、以下の3種類です。
- ウルトラマイクロ旋盤
- マイクロ旋盤
- ミニ旋盤
名称は正式なものはありません、フライス盤の区別と同様に、筆者がかなりてきとーに付けた名称です。
それぞれの特徴はあるにはありますが、
- 小さいマシンは、その小ささがメリットでもあり、デメリットでもある。
- 大きいマシンも、その大きさがメリットでもあり(略
- 剛性は大きいほど有利
- 大きいから小さいものが削れないというわけでもない
のです。つまり、「可能な限りでかいのが有利」「小さいメリットは省スペース・省コストのみ(ただしこれは私も含めた普通の人には無視できない制約になる)」となります。
もし、真剣に「旋盤遊び」を続けるのであれば、最低でもマイクロ旋盤以上の機種がお勧めとなります。
(ただし目的が完全に特化している(鉄道模型等)であれば、その限りではありません)
それが近道です。決して安価ではない旋盤、買い直すコストでツールを揃えたいですものね。
では、具体的に見ていきましょう。
ウルトラマイクロ旋盤
最も安価で誰でも一度は購入を考える「卓上旋盤」。
これを「ウルトラマイクロ旋盤」と呼ぶことにしましょう。求めるものは
重量は10kg程度、サイズは手で抱えられるくらい。
設置に大げさな場所を必要とせず、普段は仕舞いこんでおいて使う時だけ取り出したい、とか。
てな感じでしょうか。まずはメリットから。
逆に言えばこのメリット2つがあなたにとって「絶対に譲れないもの」であるならば、選択肢はこの機種(もしくは類似製品)しか、ありません。
加工できる材料のサイズはいいところ、直径で数cm、長さも10センチ程度です。また、主軸貫通穴が10mmしかありません。したがって用途が限られます、このウルトラマイクロフライスでバイクのパーツを作ることは困難・・・いや、不可能です。向いていると思われる用途は
- 実験機材・機械の作成
- ロボットの作成
- 鉄道模型パーツの作成
などでしょうか。
これらの用途であれば、十分威力を発揮すると思います。
この種類に含まれる旋盤の具体的な機種及び詳細は「自作系 旋盤・フライス・CNC Wiki」にまとめてありますので、ご参照ください。
- プロクソン No.24004 PD230 -- 恐らく手に入る最小マシン、だがなんと生産中止の悲報が・・・
- 東洋アソシエイツ KS-200 -- 鉄道模型マニアに人気があった超小型旋盤。しかしコイツももはや・・・
マイクロ旋盤
次に紹介するのは少しだけ本格的な、「マイクロ旋盤」。
重量は40kg程度、工作スペースを確保し、常設で設置できる人向け。
フライスそのものを楽しむより、実用を意識する人向け。
てな感じでしょうか。まずはメリットから。
フライスのマイクロマシンと比較して完成度が高いことが多く、特に改造なしに使用することができます。
加工できる材料のサイズはそこそこ大きい、一般的なカラーは丸もの加工であれば十分加工する事ができます。例えば
- バイクのパーツ(ホイールカラー等)製作
- 各種機械パーツ(ブッシュやカラー)製作
などでしょうか。特に弱点らしい弱点はありません、心間も300mm程度ありこれを超える加工はそうそうあるものではありません。
しいて言えば主軸の貫通穴が18mm程度とちいさいことでしょうか。
この種類に含まれる旋盤の具体的な機種及び詳細は「自作系 旋盤・フライス・CNC Wiki」にまとめてありますので、ご参照ください。
ミニ旋盤。
ずいぶん大きくなりました、「ミニ旋盤」。このサイズでも、「ミニ」なんですねえ。
重量は100kg程度、出来ればガレージクラスの作業場が欲しい。
一生旋盤を触って生きていく覚悟がある人向け。
てな感じ。まずはメリットから。
ただこのクラスにもレベル差があり、恐らく上位に位置するFL400であれば、いわゆる「自作野郎」にとって何ら問題はないはずです。
恐らくバイクをいじることを前提とするならば、作りたいパーツはすべてコイツが生み出してくれることでしょう。
この種類に含まれる旋盤の具体的な機種及び詳細は「旋盤wiki」にまとめてありますので、ご参照ください。
DIYに最適な旋盤を選びましょう
ここ10年くらいで個人向けの工作機械がずいぶん身近になりました。
値段も種類も多く、目移りしてしまうのではと思います。我々の懐も無限ではありませんので、どうしても小さくて軽くて安いマシンに手が伸びてしまいますが、先にも書いた通り機械の得手・不得手に合わない加工を使用とするとそれは不幸の始まり、金属加工が楽しくなくなってしまいます。
このあたりの情報があまりに少ないため、旋盤wikiと本ページを作成しました。
僅かでも、「これから旋盤」の皆様のお力になれればと思います。お読みいただいてありがとうございました。
ご質問・ご意見・クレーム(?)等ありましたら、ぜひ下のメールフォーム、または掲示板からお気軽にお声掛けください。皆さまからの情報が、「これから自作野郎」の背中をポンと押すことになるでしょう!