コレがNinja250SLのノーマルキャリパーです。
ぱっとみ、イイ構成に見えるんですが・・・。
個人的には超お気に入りのNinja250SLですが、このブレーキ周りはいただけません(異論は認めます)。
意味のないウェーブディスク、そして今時珍しい(このクラスなら珍しくないのかな?)スライドピンタイプの片押し2ピストンキャリパー。
これじゃあ、サーキットで命預けたくないですよねえ(注:某スーパーライダーがおっしゃるには、実はパッドを変えればサーキットでも制動力は十分だそうです。ただしキャリパーは消耗品扱いだ、と)。
ということで、さくっと愛用のTZRキャリパー(ズィクーパッド付き)に交換しちゃいます。
こんなの私にかかれば半日仕事ですよ!
さくっと計測して図面を引きます。
いつも通り、鍋CADを使用して図面を引きます。
ちなみにレースまであと7日間なんですよね・・・レース1週間前にこんなことしてる私って・・・
特に注意すべき点はありません。が、可能な限り正確に計測します。
コツといえば
- キャリパーはマスターシリンダーに接続し、エア抜きをしておく
- フロントタイヤを固定しておく
- 計測する際はキャリパーをブレーキローターにかませて「ブレーキレバーを握り」、キャリパーを固定しておく
と、計測がスムースです。0.5㎜ずれたら、まともに機能しないんです。
シミュレーション。
使用する材料は2017Sの10mm板材を想定しています。
いつも通り、Cut2Dを使用してパスを作成します。
レーサーのキャリパーサポートを作る場合、ボルトの沈め穴は深すぎないように注意!
ワイヤリングしにくくなっちゃいます。今回は5㎜沈めましたが、もうちょっと浅くてよかったようです。
削ります!
これまたいつものように、X-1-CNCで切削します。
加工性を考慮して得意の一枚板タイプで仕上げます。
このサイズであれば、あっという間に削りあげることができます。そういえば自分用の部品を作るのってすさまじく久しぶりのような気がします。
切削完了です。
いつもの「自作野郎」クオリティですね。
- 側面は0.1㎜の削りシロで仕上げ切削を入れていますのでかなり光りました。
- 面取りは0.5㎜程度取りました。
この2点を行うだけで仕上がりはワンランク上がります。
カスタムパーツ、サーキット用ということで実用本位とはいえ、見栄えはよいに越したことありませんから。
全パーツ揃いました。
切り抜いたキャリパーサポートを整形して、カラーを作って・・・
全パーツ完成です!
ちなみにこのカラーの精度は極めて重要です。
レーサーはフロントタイヤを浮かした状態で手で回した場合、勢いで3回転以上、できれば5回転しないとサーキットで勝負になりません。
カラーの精度が0.1㎜ズレてしまえば、1回程度しか回らない「重いマシン」になってしまいます。
市販車であればこんなもん、ですがレーサーではこれがタイムに直結します。シビアですよ。
組み立てて完成です!
ということで、無事TZRキャリパー(両押し4ピストン)が、Ninja250SLに無事装着されました!
このあとサーキットへ持ち込み走行しましたが、それはそれは素晴らしい効きでございました・・・効きすぎでどこでブレーキかけ始めてよいか迷うくらい!
この性能をきっちり生かして武器にできれば、さらに上位を走行できることでしょう!
その後のレースも無事に完走できました。
サーキットレポートはコチラです(外部サイト)。もし、ご興味がありましたらご一読くださいませ~
さあ、またご依頼品の制作に戻ります!