フライス盤は切削にエンドミルを使用します
ミニフライス盤の使い方。
とりあえずフライス盤は切削機、ということは刃物が登場します。
こいつがそのフライス盤で使用する刃物のひとつ、エンドミルです(これは10mmです)。ドリルに似ていますがちと違います。
エンドミルとは、主にフライス盤、まれに旋盤で使用する切削工具です。見た目はツイストドリルに非常に似ていますが、先端が異なります。もっともよく使用されるのは「フラットエンドミル」で、文字通り先端が平ら、つまりフラットになっています。水平、垂直で構成された立体物(よくいわれる2.5次元立体)を切削するのに非常に向いています。
刃の数は2枚、または4枚です。刃の数が増えるほどよく切れそうな印象を持ちますが、その分切削抵抗が増えるためアマチュアが使用する比較的小さいフライス盤であれば、2枚刃を選択されるとよろしいかと思われます。
エンドミルはフラットエンドミル以外に
・3D加工に適したボールエンドミル
・粗削りに適したラフィングエンドミル
などもあります。必要に応じ買いそろえましょう。ちなみに私はほぼすべての加工を6mmのフラットエンドミル2枚刃で済ませてしまいます。刃物を取り換えるのも手間ですし。
さて、エンドミルをフライス盤に装着してみましょう。
フライス盤は見た目がボール盤に似てるから、恐らくドリルチャックみたいなのがあるんだろうと探してみると。
直装式コレットの装着は、穴に差し込むのです
そこにはドリルチャックのようなわかりやすいデバイスはなく、単なる穴が開いているだけです。
そう、この穴を使用してエンドミルをフライス盤に取り付けるのです。
単なる穴、と申しましたがこの穴は実はテーパーのついた円錐状になっています。テーパーの角度は規格があります。いくつかの規格がありますが代表的なのがモーリステーパー。1~6の規格があり、省略してMT1、とかMT2、などと記載されています。
数値が小さいほうが細いテーパーとなります。旋盤のテールストックやフライス盤の主軸など、精密な位置と角度にツールを固定しなければならない箇所に使用されています。
モーリステーパーは軸側と穴側で数値が一致している必要があります。
主軸がMT-2の場合(私が愛用しているX-1はMT-2です)、MT-2の工具しか差し込むことができません。一般的なミニフライスはM-3が多いようです。
旋盤とフライス盤をお持ちの場合、このモーリステーパーをそろえておくことでテーパードリル(差し込み部がモーリステーパーになっているドリル、太いサイズに多い)などが共用できて何かと便利です。
さて。
X-1の場合、エンドミルをフライス盤に差し込むためには「直装式コレット」を使用します。
直装式コレット。
その「コレット」がこれ、っと。(やめときゃよかった)
直装式コレットです。ベルメックスX-1のような小型機であれば、スペースの面からも剛性の面からも直装式が好ましいと思います。
コレットは穴の大きさで種類があり、装着する刃物の軸サイズにより使い分けます。この例では10mmのエンドミルを装着するわけですから、コレットも10mmを使用します。
直装式コレットにエンドミルを差し込みます。
コレットにエンドミルを差し込み・・・
(刃のギリギリまで入れましょう、その方が刃がビビリません)
エンドミルを差し込んだ直装式コレットを差し込みます。
今度はコレットを先ほどの「途方にくれた穴」に押し込みます。
これで装着完了!ではなく・・・
引きネジ。
忘れずに付属のこのバーを使用するのです。
片方にネジが切ってあります。
直装式コレットを引きねじで引き上げる。
実(?)は「途方にくれた穴」は上部まで貫通しております。
また、コレットの上部にはネジ穴が用意されています。そう、先ほどのネジが切ってある方を下に向けて(まあそうでないと入らないのですが)これを上部から差し込んで、コレットのネジ穴に手で止まるところまでねじ込みます・・・
ピンスパナを使用して引きねじを締めます・・・
そうしたらクイル部を「ピンスパナ」でつかみ・・・
しっかりと締め付けます。
バー上部をスパナでつかみ、締め上げます!
締めるということは上部スパナが「の」の字の回転方向です。コレットはグリグリとテーパー穴に引きこまれ、よってエンドミルが完全に固定されます。
きっちりと締めましょう、エンドミルにかかる力はハンパではありません!え、そんなに締めて後で困らないかって?
大丈夫大丈夫!(のはずだ)
装着完了。
ばばーん。
これでエンドミルの装着は完了です。保護キャップを付けて切削に入りましょう!
結構、めんどいです。
しかし、この装着方法はドリルチャックと異なり強力な把握力と精密さを兼ね備えた装着法となります。0.05mmレベル(これでもプロレベルではお話にならない誤差ですが)という精密な加工を行うためには必要な作業ですので、面倒くさがらずにしっかりと取り付けましょう。