ちょっとしたヒント。
これでCADのチュートリアル講座は終了です。
さらっと流しましたが、一通りの作図方法はマスターしているはず。あとは実際に「自分の作りたい部品」を作図することでどんどんスキルが上がることでしょう!
この項では、CADのチュートリアルの最後として、筆者がいろいろ悩んで会得した(笑)ちょっとしたヒントとアイディアを纏めます。
肉抜きのバリエーション
先に作ったペダルの肉抜きは、非常にシンプルないわゆる「普通の肉抜き」でしたね。
実際に部品を作ると、いろいろな肉抜きのための作図をしなければなりません。
まずはコレ。
中央にない肉抜き
抜いた肉が、部品の外周に接しているケースです。こういう部品を設計するときは、CADで図面を起こす段階でその「はみ出る部分」を作画しておく必要があります。
こんな感じです。
肉抜き用の図形が、部品外形をはみ出しています。このはみ出した線は、図形よりも外に出ていればどんな軌跡をたどっても構いません。実際にこの図形をCNCで切削したい際のシミュレーション動画がこちらとなります。
・・・なんとなくわかりますよね。
では少し工夫してみましょう。
肉抜き部のふちが、綺麗に部品外周と接している場合。例えばこんな感じです。
これを普通に作図してしまうと、右側部分のへこみを加工することができなくなります。やり方は先ほどの事例と同様に、「CADで図面を起こす段階でその「はみ出る部分」を作画しておく必要」あるのですが肉抜きを部品外形をはみ出す部分で、くるりと半円を使って回す必要があります。こんな感じ。
加工シミュレーションはこちら。イメージ湧きましたでしょうか?
島がのこる肉抜き
さあ、これは難題です。安価なCAMでは、この「島の残し加工」ができない場合が多いのです。私が愛用しているCut2Dもこの手の加工はできません。
対策としては、肉抜き部を分割して最終的に島を残すようにします。
CAD上で、肉抜き部の分割を意識した半円を描いておきます。
この半円の「赤い星」部分を、「編集」タブの「切断」機能で切っておきます。CAMでパスを作るときにCAM上で線を結合する事で、
- 2つの重なる島
を実現します。CAMの話は「趣味のCAM」のなかで書きますので今はそんなことができるんだ、くらいの記憶でOKです。
肉抜きのデザイン
描画の技法を覚えたら、ちょっとだけデザイン的なお話をしましょう。
もちろん、100%自己流ですから偉そうに言えたものではありませんし、また強度的な考察が無いものですので取扱いにはご注意ください。
正方形の四隅にネジ穴をあけて、出来るだけ肉を抜くとします。基本形状はコレ。
一番シンプルに考えたら、こんな感じでしょうか。
うーん、ちょっと野暮ったいですね。もっとこう、ギリギリまで抜いたぜ感が欲しいところです。
枠をもう少し薄くしてみましょう。ボルト穴を抜けちゃうくらいでいいんです。ボルト穴の周囲に少し肉を残しつつ肉抜きエリアを拡大するとこうなります。
おお、ちょっとだけタイト感がでてきましたか?さらに、すじかいを入れてみます。
ん、なかなかメカニカルな雰囲気がでてきました。
でも、なんかマジメすぎますしスピード感がない・・・。なので、基本構成はこのままにして、各部に「テーパー」要素を追加します。こんな感じ。
どうでしょう、それなりに「バイクのパーツ」っぽくなったように・・・見えませんか?
立体にしてみるとこうなります。
とまあ、このデザインが良いか悪いかはともかくとして(笑)、これくらい「遊んじゃって」みるとまた、CADが楽しくなると思います。
ちなみにローライダー用ステップスペーサーを作ってみようぜっ!で作ったステップの中間プレートは、まさにこの発想で作図しているのでした。
以上、ちょっとしたヒントとアイディアをご説明して、「趣味のCAD」はクローズです。
お付き合いありがとうございました。