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自作野郎ぜっ!管理者 kow_2002@hotmail.com

ステムシャフトの打ち換えは、かなりの難作業です

今回のご依頼は、ステムシャフトの打ち換え。正直簡単な作業ではありません。

 

ご想像のとおりステムには特にフルブレーキング時にすさまじい力がかかります。ステムシャフトとアンダーステムはほとんどの場合圧入(軽量車はボルト締結や溶接)となっています。

 

この圧入は「強圧入」であり、許容される公差はごくわずかです。そして私はあくまでも素人です。

 

あくまでもそのリスクをご理解いただける方のご依頼のみをお引き受けしております。

ZZR1100のトリプルツリーからステムシャフトを抜き取る

ZZR1100ミツマタからステムシャフトを抜き取る

まず、ZZR1100のトリプルツリー(ミツマタ)からステムシャフトを抜き取ります。が。

 

古いからなのか時速300kmオーバーのハイスピードツアラーだからなのか、極めてきつい圧入がされており(単に固着しているだけかもしれない)10トンの油圧プレスがギシギシいうくらい圧をかけてもびくともしません。アンダーステムプレートをヒートガンであぶってもダメ。

 

残念ですがここは破壊しつつ除去します。

 

まずディスクグラインダーに切断砥石をセット、5mmくらい残してステムシャフトを切断します。その後アンダーステムプレートをフライス盤に固定しちくわ状に残ったステムシャフトを6mmの2枚刃スクエアエンドミルで少しずつ削り取っていきます。

 

皮一枚残すことでアンダーステムプレートへ傷が入ることを防止します。

 

このまま削りを貫通させたらさっき残した5mmの残り部をウォーターポンププライヤーでぐぐっとつかみます。ステムシャフトの直径が縮むように変形しますから、簡単にステムシャフトの残部を抜き取ることができます。

 

CNCフライス盤があれば簡単な作業ですが、こいつがなかったらどうしていたことやら。


ハンドルストッパーの加工

ハンドルストッパーの加工

ザッパーとZZRではハンドルストッパーの構造が異なります。

 

追加加工のご依頼を頂きましたので、不要となるZZRオリジナルのハンドルストッパーをざっくり削り落とします。これは単純な作業ですね。そして中央部に新ハンドルストッパー替わりにM6のボルトを打ち込むために穴をあけますが。うむむ・・・。

 

新ハンドルストッパー用の穴あけ

 

この中央に開けた穴が新ハンドルストッパー用のボルト穴なのですが、座面が傾斜しているんですよね。

 

ハンドルストッパーは力が掛かりますから、確実に固定したい。場合によってはカラーを追加する可能性もあるので・・・。

 

新ハンドルストッパー用の座繰り(平面だし)

 

手を抜かずに固定ナットがきっちりと接地するよう、水平面を出します。こういう加工が全体のレベルを上げる、と信じています。


ステムシャフトカラーの作成

ステムシャフトカラー作成のため計測

ステムシャフトは、SR400にXL250Sの足を組むステムシャフトを作ってみようぜっ!の時とは異なり現状のステムシャフトを残します。

 

スチール製のステムシャフトでしたのでこれをわざわざ2017や7075で削り出しなおす必要はないと判断しました。

 

圧入に圧入を重ねるわけですからその許容精度誤差は極めて小、というか極小です。もはやマイクロメーターでも計測がシビアな領域で「手ごたえ」勝負の世界。具体的なコツについては割愛させてください。

 

用意した2017の丸棒にテーパードリル(刃がテーパーなわけではない、シャンク部がテーパーとなっており芯押し台にぴったりはまることにより、加工対象物の中心に対し正確に穴をあけることができるドリル、とても高価!)を使用し可能な限り最大限に大きな穴をあけて置き、あとはちまちまと中ぐりバイトで削り込んでいきます。

 

ステムシャフトカラーの材料を中ぐり

 

最初は大雑把な荒加工となりますので制御もCNC任せ。

 

とはいえ1回あたりの切込み量は0.05mm、何度も何度も時間をかけて穴を拡大していきます。残切削量が0.5mmを割り込んだら直径側の制御をCNCから切り離し、マイクロメーターを装着し手動加工に切り替えます。

 

ここでも様々なノウハウがあります・・・

 

で、完成。

 

ステムシャフトカラー完成

 

実は圧入時の手ごたえがどうしても気に入らず、再度作り直しています。苦労しました。


トップブリッジ用カラーの作成

トップブリッジ用カラー

あとはステムシャフトを圧入して完成・・・なのですが。

 

トリプルツリー(ミツマタ)の入れ替えを行った場合、たいてい追加カラーが必要となります。ステムシャフトの長さは車種によって多少の違いがありますし、トップブリッジの厚みも異なります。

 

このあたり、本来であれば現物合わせをしながら必要なカラーを削り出すべきですがさすがにご依頼者にマシンやフレーム送ってくださいとも言えません。

 

ここは経験上こんなのが必要なはず、という推察を基に(!)カラーを数種類入れてお送りします。もしこれを使っても足りなければ、追加作成致します。


ザッパー用43mmフォーク装着可能ステムの完成

ステムシャフトの打ち換え、完了

あとは出来上がったパーツ群を油圧プレスで丁寧に圧入し組み立てれば完成です。

 

この圧入時の手ごたえで圧入シロの過不足を判断します。

 

少しでも緩いと思ったらそのままにしておいてはなりません。かならずカラーなりステムシャフトなりを作り直します・・・。ね、作り手側にとってもリスクのある作業なんですステムシャフトの打ち換え。

 

だって失敗したので費用を2倍頂きます、なんて言えないじゃないですか。

 

SR400にXL250Sの足を組むステムシャフトを作ってみようぜっ!みたいに、ステムシャフトがボルト止めされているものだったらそのリスクはかなり低減されるんですけどね・・・。

 

とりあえず今回は作業完了、お待たせ致しましたがすぐに梱包して発送。お疲れさまでした。

 

あとは依頼者様の手に委ねます。


こんな環境で作業をしています

私の作業スペースです

ここが私の作業場です。

 

立派なガレージや工房を持っているわけではなく、実は普通のフローリングの四畳半で作業をしています。スペースがありませんので小型コンテナボックスを使用した小物入れを多用し、必要な工具はすべて工具掛けに配置。この写真の背面にも巨大な工具棚があるんですが・・・。

 

これでかなり生産性は向上しました。右側の机はツーバイフォー材で自作したもの。1万円程度で自由なサイズに作ることができます、お勧めです!

 

実は、トコロさん責任編集?の雑誌「Daytona」に掲載して頂きました。

 

Daytonaに掲載して頂きました


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