マイナーバイクのカスタマイズには自作削り出しパーツが必須なのです
今回お手伝いさせていただくのは、前回と同様、スズキがリリースした孤高のシングルスポーツ、Goose350。
発売当初はツウ好みの渋いシングルスポーツということでかなりの注目を集めましたがやはりターゲット層が薄く、あまり見かけるマシンではありませんでした。とはいえハマる方にはハマるようでご依頼主はアマチュアレース、それもシングルレースでご活躍されているかなりの手練れライダー。
さてさて、走りに妥協のないご依頼主のお眼鏡にかなう加工が私にできるでしょうか・・・?
図面を作図してくださっているとのことなので、それをDXF形式でお送り頂きました。
これなら鍋CADに食わせて、簡単に作図できるので助かります。
頂いた図面をざっとチェック、さすが手練れのご依頼者、特に矛盾等はない様子。
フレームを左右対称のパーツで締め付ける構造ですね・・・。下側は隙間なしでハマり、上側の2mmのクリアランスで締め付け調整するみたい。手慣れた設計ですね。
頂いた図面にレイヤーを重ねて切削用パスを描画
鍋CADで読み込んだこの図面にレイヤーを一枚かぶせ、切削用のパスを上書きします。
CAM(Cut2Dに食わせる際は余分な線があるとトラブルの元ですので、この切削用パスのレイヤーだけをDXFファイル化し、Cut2Dに読み込ませます。
その後、鍋CAD上で部品を移動させて効率よく削り出せるパーツ配置を検討します。左右逆に並べたほうが面積を有効に使えるので今回はそうしました。
あとはいつもの手順でパスを作り、切削準備完了です。
CCNフライス盤にてDIY切削開始
今回は12mm板での加工をご所望頂いたので、いつも通りMonotaroで2017の12t切板を購入。バンドソーで少し大きめに切り出し、自作の浮き上がり防止バイスで固定します。
やっぱリバイスで部材を固定するほうが楽ですね。
ただし、切削が進む過程で固定が弱くなる(部材が削られることで板そのものがゆがむ)ことがありますので、固定はそのあたりを予想して行いましょう。また、下に1枚捨て板を入れることをお忘れなく。これを忘れると虎の子の浮き上がり防止バイスが傷だらけになります・・・
使用するエンドミルはMonotaroプライベートブランドの超堅スクエア2枚刃の6mmを使用します。これ、安くてお勧め。
F値は300(毎分300mm)で、ゆっくりと削ります。
切削完了
無事切削完了。
このように組み合わせると正円ができるようなパーツは精度がてきめんに目に見えてしまうので、腕と機械の調整状況が筒抜けになります(笑
今回は腕はともかく、バックラッシュ調整を入念に追い込んだのでまあまあキレイに切ることができました。
それにしてもこのマイクロフライス盤X-1、手を入れ・整備・調整しながら使い込んできましたがそろそろアリ溝の摩耗がばかにならない様子。締めすぎると脱調しちゃうのでギリギリの重さでカミソリ調整を掛けるのですが、どうしてもウネウネと拠れながらスライドするようになってしまいました。そろそろ次期主力戦闘機を用意しなくてはなりませんね・・・実は、作成中なんです!
軽くC面を取り、ねじ穴をあける
切削が完了しました。
いつもであればC面もフライス盤に面取りカッターを付けて加工するのですが今回の形状は両面が見える形で使用されます。
片方のC面を取ったあと、裏返してコンマゼロ何mmも誤差もなく残りの面のC面を取るような精度ある加工は到底できませんので、今回はフライス盤でのC面加工はキャンセル。
代わりに、面取り用ツールとオイルストーンを使用して軽い糸面を取りました。
面取り用ツール、ひとつ工具箱に入れておくといろいろ便利です。昔はノガというメーカーのものが有名でしたが今はいろいろなコピー?があってありがたいんだかどーなんだか、
ちなみにこの面取りツールが威力を発揮するのは曲線の内側です。直線部はオイルストーンでこすったほうがきれいにできると思います、少なくとも私の腕では。
Goose350用オリジナルオイルクーラーステーの完成
なんとかキレイに仕上がりました。
切削と穴あけ・ねじ切りが直行した面の加工なので見た目より神経使うんですよ・・・。ねじ穴はどうやっても私の腕と機材ではコンマゼロいくつかはずれますし・・・。でも完成したからいいの!
新聞紙でくるんでレターパックで発送します。無事届くといいのですが。
パーツは無事到着、そして取り付け確認のご連絡
ご依頼者様より、無事パーツが届いたとのご連絡を頂きました。
この度はありがとうございました。
製品には、何ら問題はありません。
取り付けまでにはもう少し時間がかかりますが・・・・
付属パーツ制作しないといけないので。
又、お願いすると思います。
気に入っていただけた様子、うれしいひと時です。
その後、このオリジナルGoose350用オイルクーラーステーを使用した画像をお送りいただきました。
この隙間にうまいことはめ込むものですね。絶妙な設計です。この状態でもいい感じで収まっており、仮に転倒してもオイルクーラー本体に影響はない位置関係になっているようです。
まだご依頼があるとのこと、もちろん喜んでお手伝いさせて頂きますから遠慮なくご依頼くださいね!
以上、「Goose350にオイルクーラー2丁掛け用ステーを自作する」でした!